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2024.04.22

AND ARCHI

美しい家をつくろう~層の家プロジェクト前編~ 建築家・三原宏文×森田健司

美しいという要素は、住宅にとって大切な性能の一つだと思う。人はモノを大切にする時、いつまでも飽きのこないデザインと住んでいて楽しいという品質を求めるのだと思う。

建築物のみならず、名車と呼ばれるものや美術品に至るまで様々なものがデザインと共に残されてきた。美しいものは残すに値するものなのだから。

 

配置を考える

大津市の小高い山の見晴らしの良い敷地が、

今回の計画地となった。敷地面積は257坪の大きさがあった。一部は既に駐車場として活用されており、敷地の約3分の1程度が斜面となっている。この敷地に対して、どれくらいの大きさの建物をどの位置に配置するかから紐解いていく。見晴らしの良さを活かすこと、崖に対して安全性を確保すること、プライバシーの確保の仕方やアウトドアリビングとの関係性など、様々な要素を考慮し最適な配置計画を練っていく。

三原氏は、実際に現地に身を置き様々な情報を確認する。敷地の形状や大きさ、周囲の景観や方角、そして光の動き方や周囲から聞こえる音の種類など、多くの情報をインプットし検討していく。

 

楽しいプロセスから生まれる

敷地のパフォーマンスを読み解いた上で、住まい手の暮らし方についてヒアリングしていく。住まい手によって暮らし方に対する価値観は様々。大切にしている生活習慣、家族のライフステージの変化に対する確認、これから実現したい新しい暮らしのあり方など、様々な角度から話し合っていく。

三原氏の専門家としての経験と知識は、住まい手が気づきもしなかった価値観を引き出していく。これまでの生活の中にあった固定概念や既成概念といったものを突破し、想像を超える住まいづくりへと導いていく。

 

住まい手の好みを知ることはとても大切なこと。多くの写真を見ながら感性の共有をしたり、様々な建築材料を手にとって素材感や色の好みなどを確認していく。迷ったときは専門家である建築家の意見を尊重した方が良さそうだ。

打ち合わせで一番大切な情報は、どんな住宅をつくりたいかではなく、どんな暮らしがしたいかだ。こんな暮らしがしたいとか、こんな時間を楽しみたいと伝えてくれれば建築家は最適な回答を考えてくれるはず。住まいづくりのプロセスを楽しめれば、きっと楽しい暮らしが手に入ります。

Editor

君島 貴史 Takashi Kimijima
andARCHI(アンドアーキ)編集長

1975年東京生まれ。2008年、トレードショーオーガナイザーズ株式会社にて注文住宅の専門展示会「スタイルハウジングEXPO(東京ビッグサイト)」を立ち上げ、住宅購入を検討する施主20000人が来場する住宅イベントを開催。その後、建築会社のコンサルタントを行う株式会社グローバルデザインを設立。住宅会社にて「楽しくなければ家じゃない」をモットーに家づくりに携わりながら、2020年、株式会社AND ARCHIを設立、ウェブマガジン「AND ARCHI」の編集に携わっている。