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2025.03.19

AND ARCHI

プレゼンの話(守山の家)

中庭を大きく配置したプランについてのプレゼンテーションが滋賀県で行われました。計画された住まいは、2メートル程度の壁で囲われた中庭を中心に構成されるプラン。リビングを1階にするか、2階にするかで議論が分かれましたが、最終的には住まい手の暮らし方を最優先に考えた1階リビング案が採用されました。

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敷地条件としては、行き交う車や人の視線が多少気になる周辺環境であったため、2階リビングという選択肢も考えられました。しかし、2階リビングにしなくても同等の開放性とプライバシーを確保できる可能性が見えてきたため、当初から1階リビングでの暮らしを強く希望していた住まい手の意見を尊重し、建築家・藤本氏は1階リビングを採用した設計をまとめました。

1階リビングとプライバシーの両立

この計画では、単に1階にリビングを配置するだけでなく、周囲の環境との関係性を丁寧に読み解くことで、開放感とプライバシーの両立を図っています。特に、中庭の配置が重要な役割を担っています。

  • 視線を遮る中庭の壁: 2メートルの壁が適度に視線をコントロールしながらも、圧迫感を感じさせないデザインに。

  • 開放感を演出する開口部: 壁の高さや抜け感を計算しながら、大開口を設けることで外部とのつながりを確保。

  • 光と風の取り込み: 中庭の存在によって、室内に柔らかい自然光を取り入れ、風の通り道をつくる工夫が施されている。

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1階リビングにしたことで

1階リビングにすることで、中庭とのつながりが生まれ外でのアクティブな生活がしやすくなります。車との連動もスムーズとなり遊び方にも幅が広がります。また、植栽を植えることで、リビングからの景観としての中庭の活用も生まれます。落葉樹を想定することで、夏は日射を遮蔽し冬は日差しを取り込む機能を果たしてくれることも期待できます。

中間領域を設けることでことで、建築面積を小さくしコストを下げながらもリビング空間をスケールし、道路からの距離感も保たれることでカーテンレスな生活も実現しています。

建築家・藤本氏の設計思想

藤本氏は、この住まいの設計において「住まい手がどのような時間を過ごしたいのか」を重視し、単なる間取りの提案ではなく、暮らしの豊かさをデザインする視点でプランニングを行いました。結果として、中庭を活かした1階リビングの選択が、住まい手の理想の暮らしと一致する形となりました。

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藤本誠生建築設計事務所

滋賀県という環境の中で、開放感を損なわずにプライバシーを確保する設計は、今後の住宅デザインにおいても重要なテーマとなるでしょう。このプロジェクトを通じて、住まい手も1階リビングの可能性をより感じることができたことでしょう。

これからの住宅設計においても、敷地の条件や住まい手の価値観を丁寧に読み解くことで、より快適で豊かな暮らしが実現できるのではないでしょうか。

Editor

君島 貴史 Takashi Kimijima
andARCHI(アンドアーキ)編集長

1975年東京生まれ。横浜を中心に150棟以上の建築家との住まいづくりに携わる。デザインと性能を両立した住宅を提案し続けています。「愉しくなければ家じゃない」をモットーに、住宅ディレクターとWebマガジン「andarchi」の編集を行っています。